【第10話】傷心の県外遠征。新幹線でお見合いに向かう私の財布と、後ろ指をさされるような罪悪感

あの誠実だった5歳年下くんとの、あまりにも残酷な結末。「本人同士がどれだけ上手くいっても、年齢を理由に親ブロックされたら終わりなのか……」深い絶望を味わった私は、ここで一つの大きな決断を下した。​近場にこだわっていては、もう打席すら残されていないのかもしれない。傷ついている暇も、立ち止まる時間もない。私はターゲットのエリアを、一気に「県外」へと広げることにした。​そこからは、自分から遠方の県外の方々へ積極的に申し込みを入れる日々が始まった。幸いにもお見合いは成立する。けれど、そこからが本当の試練の始まりだった。​週末になると、私はお見合いのためだけに新幹線に飛び乗り、見知らぬ土地へと向かった。​当然、それは「まあまあな出費」となって私の財布を容赦なく直撃する。往復の新幹線代。お見合い中のお茶代。平日の激務で疲れた体を移動させる肉体的負担。​仕事の出張であれば、かかった経費は会社が落としてくれるし、何より確実な「成果」を持ち帰る自信がある。けれど、これは自腹の婚活出征だ。移動中の新幹線の窓の外を眺めながら、私の頭には常にリアルな計算式がよぎっていた。「もし、この人と仮交際に進んでしまったら、これから毎週この新幹線代がかかることになるの……?」それは、想像以上のプレッシャーとなって心にのしかかってきた。​それだけのコストと覚悟をかけて臨むお見合い。だからこそ、お相手を見る目も自然とシビアにならざるを得ない。​けれど、そこまで時間とお金をかけたからといって、奇跡のように「ピンとくる人」に巡り会えるほど、婚活の世界は甘くなかった。お話ししても、どこか噛み合わない。決して悪い人ではないけれど、毎週新幹線に乗ってまで会いたいかと言われれば、答えは「NO」だった。​結局、そこまでピンとこなければ、そのまま仮交際を終了にするしかない。​「せっかく遠くから足を運んでもらったのに……」そんなお相手側の、なんとも言えない落胆と冷ややかな空気が、システム越しに伝わってくるような気がした。​新幹線の改札をくぐり、一人ホームで帰りの列車を待ちながら、強烈な居心地の悪さに襲われる。まるで、後ろ指をさされながらコソコソと逃げ帰るような、重い罪悪感。​お金をすり減らし、体力をすり減らし、ついには自分の良心まで削られていく。エリアを広げた先で待っていたのは、想像以上に過酷な「遠征婚活」という泥沼だった――。​(第11話へ続く)

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