【第7話】仮交際お断りの理不尽。そして私は「週末限定の、無給の接客レディ」になった

あの「目が笑っていない工場勤務の男性」との背筋が凍るお見合いを終えたあと。 私は恐る恐る、例の目が笑っていない(だけど有能な)アドバイザーに事の顛末を報告した。

てっきり「それは大変でしたね、次に切り替えましょう」と言われるかと思いきや、彼女から返ってきたのは、相変わらず冷徹でビジネスライクな助言だった。

まずは仮交際に進んでみましょう。もう一度フラットな状態で会ってみてから、継続するか判断するのもありですよ」

正直、あの恐怖の余韻は残っていた。けれど、私も一企業の管理職。1回会っただけで全否定せず、大人の対応として一度懐を受け入れてみるのも必要なプロセスなのかもしれない――そう自分を納得させ、気力を振り絞ってシステムから「仮交際希望」のボタンを押した。

しかし。翌日、画面に届いたのは非情な通知だった。

お相手からのお断りにより、不成立となりました

……は? いやいや、怖かったのはこっちだし、あの凍りつくような空気の中で必死に笑顔を作って、歩み寄ろうと頑張ったのは私なんですけど!?

理不尽な怒りと同時に、思った以上に心がチクッと傷ついた。 条件を広げてみたら大事故に遭い、その上、なぜかこちらがバッサリと全否定される。一生懸命に大人の対応をしようとした自分が、なんだか急に惨めに思えて仕方がなかった。

けれど、傷ついている暇も、立ち止まる時間も今の私にはない。 スマホのスケジュール帳には、翌週も、その翌週も、お見合いの予定がパズルのように真っ黒に敷き詰められている。

そこからの毎週末は、もはや「異様なロードワーク」だった。

土日になるとホテルのラウンジへ向かい、さほど興味を持てない初対面の男性を前に、全力の笑顔を作る。仕事で培ったマネジメントスキルとコミュニケーション能力をフル稼働させて、相手が気持ちよく話せるように質問を投げ、話を盛り上げ、完璧にお見合いの場を「ファシリテート」してしまう。

相手の男性は、みんな満足そうな顔で帰っていく。 だけど、ラウンジを出て一人になった瞬間、泥のような疲労感が一気に押し寄せてくるのだ。

これだけ打席に立っているのに、心が動くような、しっくりくる人はただの1人もいない。 ある日の夜、疲れ果ててベッドに倒れ込んだとき、思わずため息と一緒に本音がぽつりと漏れた。

私、なんで休日にタダで、しっくりこない男たちの『接待』を必死にやってるんだろう……

平日は管理職として激務をこなし、週末は無給の接客レディとして神経をすり減らす。 何のために、誰のために頑張っているのかが分からなくなるゲシュタルト崩壊の波が、ジワジワと私の心を侵食し始めていた――。

(第8話へ続く)

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