【第5話】ハイスペ砂漠の狂乱。冷静になる暇もない「最初の3ヶ月」

怒涛の「1日3連発お見合い」を終えて帰宅した夜、私の心と身体は完全に限界を迎えていた。

年収3000万の上司風男、バツ2子ども5人のオレオレ男、そして1万人を研究したパーソナルスペース崩壊ドクター。 「普段の生活では絶対に出会えないようなハイスペックな男性たちと、私は本当に出会えているんだ」という妙な高揚感。それと同時に、タイプの違うマネーモンスターたちを1日でなぎ倒したことによる強烈な気疲れ。

その二つが脳内で限界までブレンドされ、泥のようにベッドへ倒れ込み、文字通り「バタンキュー」で深い眠りについた。

しかし、婚活砂漠のゲートは開いたばかり。私に立ち止まっている暇は一秒もなかった。

あの目が笑っていない(だけど有能な)アドバイザーの戦略通り、屋外で撮影した「奇跡の一枚」のマーケティング効果は、その後も凄まじい勢いで威力を発揮し続けていた。スマホを開けば、次から次へと新しい申し込みの通知が届く。

この写真の効果がある、最初の3ヶ月が勝負だ

私の中にいるビジネス脳が、冷徹にそう告げていた。40代での妊活・出産を見据えている私にとって、時間は最大の資産であり、最大の敵でもある。ここで出し惜しみをして機を逃すわけにはいかない。

そこから、私の生活は一変した。 「ハイスペって何だろう?」「私が本当に求める結婚相手とは?」なんて、冷静に立ち止まって考える時間なんて1ミリもなかった。

とにかく、次々に届く申し込みをさばき、お見合いのスケジュールをパズルのように組み立てていく。 平日は管理職としての激務をこなし、夜は相談所のシステムでメッセージを往復させ、週末のスケジュール表をお見合いの予定で真っ黒に埋めていく。

「次は〇〇駅のホテルのラウンジ、その次は……」

もはや、スケジュール合わせの業務だけで目が回りそうな忙しさだった。だけど、この「打席に立ち続ける狂乱の3ヶ月」こそが、私の婚活をさらに予測不能な方向へと加速させていくことになる。

ハイスペ砂漠のオアシスを探して、私は休むことなく次なる打席へと向かった――。

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